あのPMDGが、737をアップグレードしました。前作は PMDG 737 NGX でしたが、アップグレード後の商品名は PMDG 737 NGXu
となりました。
詳細は記事の後半でレビューしていきますが、NGXとはまた一段階段を上った、大きなアップグレードです。
よって前作のNGXを所有していたとしても、一切の割引はありません。
しかしながら、嬉しいニュースが。PMDGは来たる2020年、 Microsoft Flight Simulator 2020 (以下、『MSFS2020』)において737の製品を販売することを宣言しています。
MSFS2020では、デフォルト機として Boeing 747-8 および Airbus A320neo がトレーラに登場しています。737がPMDGから販売されれば、十分満足できる機体構成となりますね。
これだけではありません。2019/12/31 までにこの PMDG 737 NGXu をPMDGの公式サイトから購入すれば、MSFS2020用の737
NG3 (仮称) を割引価格で購入できます。現状 PMDG 737 NGXu (for P3Dv4)は、 $99.99 です。これを期日までに購入しておくと、PMDG
737 NG3 (for MSFS2020) は、$40.00 で購入する権利が得られます。PMDGは明言をしていませんが、両製品を所有できると私は見ています。
なお PMDG 737 NG3 (for MSFS2020) は、$139.99 での販売予定ですので、今PMDG 737 NGXu を購入しておけば、PMDG
737 NG3 一機分の値段で両製品を所有することができます。なおこの 737 NG3には、MAXがExtentionとして含まれるのではと聞いています。
この時期を逃してから、NGXuとNG3を購入しようとすると、$239.98 となり非常に損です。この記事などを読んで、興味が湧けば購入したほうが良いと思います。
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それではレビューです。
まず外観ですが、Prepar3D v4 ではどのアドオンメーカーも導入している PBR が設定されています。
PBR が実装されていると、一気に雰囲気が上がります。コックピットも作りこみは良く、VC (仮想コックピット)視点でもリアルな雰囲気でフライトを楽しむことができます。PBR が実装されていると、駐機させて「ボー」っと見ているだけでも全く飽きません。
比較するものではないと思っていますが、私は PBR の雰囲気は、Quality Wings 787 が一番です。PMDG 737 NGXu と比べると、まだQW787が一位です。
もちろん私個人の感想ですよ!
アビオニクス関連ですが、PMDG、申し分ないです。特に気に入っているのが、ルート描画のきれいさです。
PMDG 777では、描画が苦手なところがあるなと感じていました。例えば羽田の SYE3/PULUTO2/YANAG2 などが苦手でした。ルートのラインがビクビク動いていたりしてました。NGXu では、そういうのがほとんど無くなっており、かなり手が込んでいるなと感じました。こういう点がしっかりしていると、一緒に飛ぶ相棒として信頼感が生まれますよね。
Active Sky が動作しているか気になっていましたが、きちんと動作していますね。
また、ND にも特徴的な機能が。 787でも導入されていた、垂直のマップも搭載されています。これを表示するには、NDのCTRを何度かクリックします。
地表高度でしょうか、0ft 周辺には、ブロック状に緑色の線が引かれています。ただし、2Dパネルは、大幅に削減されてしまっています。ここは、減点対象になるかなと思います。特にコックピットビルドをされる方には、痛いのではと思います。
もはや標準仕様となっている雨のエフェクトもバッチリです。TRUE GLASS だと思っていましたが、Add-ons に PMDG RAIN Marker なるものが追加されているので、FSLabsのように自社開発なんでしょうかね。雨の雰囲気は、FSLabsよりも若干控えめかなと感じますが、FSLabsでワイパーをかけたときに窓がちらつくようなことはなく、安心して楽しめます。(おそらくFSLabsは、ワイパーで拭き取られた、水滴の更新時にちらついていると考えています)
私がNGXuの購入の決め手になったのが、このICINGのエフェクト。ここら辺は、FSLabsを意識している感があります。FSLabsは、ロシア(あたり?)のメーカーなので、雪の厳しいフライトに対しての再現度にはこだわりがあるのでしょう。FSLabsでは、ICING、例えば低温下で ANTI-ICE の操作を怠ったりするとフライトの安全性に大きく影響してきます。すごくこれ、気が引き締まるんですよね。NGXuでも例えば Window Heat をOFFにした状態で、氷点下の空港にいたりすると、このように窓が曇ってしまいます。
曇った(凍った?)窓をワイパーで拭き取ったときの写真がこちら。
Window Heat のない一番端っこの窓は、寒いと曇ってきます。ここら辺は、凝っているなと感じた部分です。
そういえば、2019年12月の JAL SKY WARD で、赤坂社長もこの ICING についてお話されていました。話は復興に関連する、温かいお話でした。序盤に、飛行機には除雪と防氷対策は欠かせないともおっしゃてました。
Q&A にも書きましたが、NGXu では、チラーとラダーは別々に分離させることができます。ただ単に操作が分けられるという意味ではありません。FSLabs
A320X をレビューしたときに言いましたが、実機では低速度(タキシング中など)のとき、ラダーでは左右数°しか回頭できず、ターンなどはとてもできません。大きくターンするときは、チラーを使います。ラダーは、タキシング中微調整としてしか使われません。Q&A
の3番目のセクションの通り設定をすると、ラダーでは大きく回頭できなくなります。
ただ個人的には、これを設定したときのチラーとラダーのふるまいは微妙に感じます。FSLabsは難しすぎる感は否めませんが、比較すると私はFSLabsのふるまいのほうが好きですね。ただ、今後はこういったところも備えるのが当たり前となるのでしょうかね。
ほんの一部のレビューではありますが、PMDG の本気、気合いの入り具合が感じ取れるいい機体です。今後のアップデートでどこまで煮詰まるのか期待しています。
このレベルの領域には、FSLabsしかまだ存在してないと思っていましたが、いい勝負になりそうです。PBR などグラフィックの点では、リードしていますし、やはりいい勝負だと思います!
EFB (Electronic Flight Bag) も装備されており、Airport Chart などを参照したり、パフォーマンスの計算を行えるそうです。EFBと言えば、QW787
が初だったのですが、あると便利だと思います。と言いつつ、私は今は使っていません 汗
チャートは iPad で見ているので、いいかなという感じです。しかしこのEFB、カメラの機能も実装されており、FPSはダダ下がりしますが、PMDG
777-300 などにあった機能も使えます。
FPSは、FSLabs A320X レベルの最重量です。ちょっと私のPCはP3D、引っかかるように遅いので、一旦再構築したほうがいいとは思いつつもなんですが...
テクノブレインの羽田 + Active Sky + Chase Plane + PRO ATC/X + UTL + GSX で15fps~ ですね。
グラフィックをかなり上げたので、こんな感じになっています。ゲーミングのスペックでようやく位だと思います。
またFPSに関しては、調整したらまた検証してみます。が、15fps 出ていればもういいかな感が。来年のMSFS2020もありますしね。
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Q&Aのコーナーです。
Q. DOOM LIGHT (コックピットのライト)はどこか?
A. オーバーヘッドパネルの後方にあります。かなり孤立した位置にあるので、737に慣れていないと分からないと思います。
Q. HUDが表示されない
A. 日本語環境の皆さんには、ほぼ全員に起こっているようです。Program Data > Lockheed Martin > Prepar3D
v4 > dll.xml を右クリックで編集を押し、開きます。(ワードパッドで開かれると思います。)Program Data は隠しフォルダなので、これを表示させる必要があります。SODEのフォルダですね。
するとおそらく、この dll.xml を開くと、一行目に ");@" のような不明の文字列が入っているはずです。この不要な文字列を除去して上書き保存すれば、おそらく表示されると思います。普通入るかねぇとは思います。
Q. ティラーとラダーを別々に扱いたい
A. PMDG 777 とは違い、PMDG 737 NGXu では、ティラーとラダーを分けることができます。FSLabsを意識してるなと勝手に感じました。
これを設定するには、PMDG SETUP > OPTIONS > SIMULATION > PAGE 10 より NOSEWHEEL
STERLING を RUDDER から TILLER に設定します。
すると、タキシング中、低速時はラダーでは左右数°の調整しかできず、ティラーを使用しなければなりません。これは実機に忠実と言えるでしょう。
Q. エンジンスタートができない
A. 私が737-800のエンジンスタートで迷ったので、Q&Aに混ぜておきました。ほぼ私の備忘録用です。
1. L/R の PACK が AUTO または、 ON になっている場合、これを OFF にする必要があります。エンジン始動の際は、エアコンさえもOFFになると言われるやつですね。
PACK の ON/OFF は、オーバーヘッドパネルの右手前より行えます。
2. PACK を OFF にしたら、エンジンスタートの手順に入ります。通常の手順であれば、このエンジンスターターを GND にセットします。まずはエンジン 2番(右)から。
3. エンジンスタートに際し、MFDよりENGを選択し、エンジンの様子を監視できるようにします。
4. N2 が 26% ほどになったら、エンジンスタート(燃料コントロール)レバーを ON にします。
5. N2 が 56% ほどになったら、エンジンスターターが OFF になります。これでエンジンは、起動しているはずです。
6. 同様の作業 (2. ~ 5.) を、エンジン 1番(左)でも行います。
エンジンスタートが完了したら、エンジンの発電機のスイッチをオンにします。これはオーバーヘッドパネルの左下側にあります。しかし777と比べると、少々あっち行ったりこっち来たりが多いような...
エンジンスタートが終われば、 PACK の L/R を AUTO にします。エンジンスタートの前に HYD PUMP や YAW DAMPER
を ON にするなどの作業もありますが、細かい点には、ここでは触れません。
私が特に言いたいのは、 PACK を切らないことにはエンジンスタートが始められないということです。
タキシング/離着陸時には、エンジンスターターを CONT にします。GRD、CONT、FLTの使い時は調べればすぐに出てきます。ただ詳説が欲しいところですね。
Q. VNAV 使用時に、 IAS/MACH をマニュアルで使用したい
A. SPEED 設定ノブの真横にある黒いボタン (SPD INTV) を押すと、マニュアルで速度を設定できます。
Q. 目標高度に達した後、さらに上昇/降下をしたい
A. SPEEDのマニュアル設定と同じで、ALT 設定ノブの真横にある ALT INTV 黒いボタン (ALT INTV) を押すと、マニュアルで高度を設定できます。
ただ以前一度だけ、目標高度に到達後、巡航高度までの上昇が緩やかになったため ALT INTV を押したのですが、降下率があまり上がらないことがありました。この場合は、適宜
V/S などを利用するのが良いと思います。トリプルやA320のように、押したり引いたりしてマニュアルにするのとは、少し違いますよね。
Q. ILSの使用方法が分からない
A. PMDG 777やFSLabs A320Xに乗っていると、つい分からなくなってしまうものです。これらの飛行機は、データベースよりオートで周波数設定が行われます。
737は、人力で設定する必要があります。
ただし、Chart を確認する必要まではありません。出発のときFMCのDEP/ARRにて、ILSアプローチを選択した場合、 APPROACH REF に、ILS周波数と滑走路方位の確認ができます。
まずは、滑走路方位である 63 を MCP の COURSE に入力します。
次に航空無線の下にある、ILS周波数の設定ノブより、ILSの周波数 111.10 を設定します。
後は適切なタイミングで、
1. ILS周波数の STANDBY と ACTIVE を入れ替えます。
2. アプローチの際には、MCP の APP をクリックすればよいです。 ローカライザーのみの場合は、 VOR/LOC をクリックします。
なお、ILSなどの設定状況は、PFDでも確認できます。ここはトリプルと同じだと思います。
777と違い、 VOR/LOC となっているあたり、 ILS のみならず、特定の VOR まで飛行する場合にも使うのだと思います。
個人的にこの作業をすると、FSX時代に、GPSの端末などでフライトオペレーションをしていたあの頃が懐かしく思い出されます。
Q. NO DES PATH AFTER 〇〇〇〇
A. 短い距離で、速度を保ちながら、降下することができない場合にこういう警告がでます。特にこの 737 減速が苦手と感じました。スロットルをIDLE、スポイラーをフルで展開しても、風向きによっては減速するばかりか、加速したり VNAV PATH を保てなくなったりすることが多いです。アプローチ中も、やむを得ずギアに頼ることが多くなりました...
例えば、関空。NO DES PATH AFTER JOLLY と出ました。これは JOLLY での高度が 6000ft なのに対し、次の Waypoint の BERRY で 4000ft です。しかし距離は 7.8NM しかなく、この距離で降下の VNAV PATH を書くことが計算上不可能であったと言うことになります。
解決方法としては、HOLD などをして距離を稼ぐか、単純に JOLLY で 6000ft よりも低い高度にいればよいのです。ただし、6000ft
以下に降下していても問題ないことが条件です。逆に BERRY で 4000ft より高い高度を設定して、このエラーが消える高度を探すしかないです。場合によっては、速度設定が原因のこともあるでしょう。
試しに JOLLY で 5000ft としてみましょう。
これでエラーは消えました。トリプルのときもこんなことがあったっけな、と思いました。
Q. WEATHER REQUEST (UPLINK) を利用したい
A. Active Sky で UPLINK できました。FMC の LEGS をクリックします。次に、 R6 キー(RTE DATA)を見ます。すると同じく R6 キーを押し、WINDS REQUESTS を実行します。なお、巡行中の風の情報は、設定した巡航高度のみデータリンクされます。つまり、FL370 を飛行する場合は、FL370 の高度となる WPT のみデータリンクされるということです。
これだけではなく、DES (DESCENT) ページにも、WEATHER の UPLINK がありますので、リンクさせておくと、より正確な燃料計算結果を PROG ページより確認できると思います。DESページより、L6 キー、 DES WINDS REQUESTS を実行します。
Q. SOP (Standard Operating Procedures) は、どこにあるのか
A. Prepar3D v4 のフォルダ内のPMDGに移動し、 PMDG 737 NGXu より、Flight Manuals フォルダへ移動します。PMDG-737NGXu-FCOMv1.pdf の65~162 ページがSOPとなっています。フライトの際は、紙面として持っておいた方がよいと私は思います。FSLabs A320X のものは印刷をしました。100ページほどになるので、2面/1ページ にして、5円コピーなどを利用すればいいのかなと思います。
Q. 初期設定が必要なのか教えて欲しい
A. リファレンスに、シミュレーターの設定を適切に調整しろと言っています。まず飛ぶ前に必ず下準備しましょう。
まず、PMDGは Windows サービスを無効にして、PCの高速化を図ることには反対しているそうです。特に、FlexNet Licensing Service は、PMDG製品の動作に影響するので切ってはダメです。
また、 Prepar3D v4 内の設定を以下のようにします。
Application
Show Scenario Startup Screen --- Checked
Enable Panel Serialization --- Unchecked
Realism
FLIGHT MODEL --- All 100%
ENGINES --- All unchecked
FLIGHT CONTROLS --- All unchecked
ATTACHMENTS --- All Checked
Display
Mipmap VC Panels --- Unchecked
World
Enable Bathymetry --- Unchecked
驚いたのは、ignore weight と ignore forces にチェックを入れるという点ですね。自前でシミュレートしているから不要なんでしょうか。まだ初期設定をしていなかった人は、チェックをしておきましょう。なお、マニュアルが長くて読むのがめんどくさい方も、マニュアル PMDG-737NGXu-Introduction.pdf の14-25ページは、目を通した方がいいと思います。
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他にも疑問があれば追記していきます。
燃料の設定方法や、ペイロードはいままでの PMDG 製品と同じですし、そこまで疑問はないと思います。ただ、デフォルト機体から、初めてこの機体に移行するには、なかなかハードルが高いかなと思います。FSLabs
A320X よりもやや難易度が高いのかなと思います。これは再現度が高いというよりも、737 ゆえの、機体特有のめんどくささが高難易度の要因かなと思います。トリプル→A320
とオートの機体で飛んできた身からすると、なかなか手ごたえがあります。